歯周病の場合一番大切なのは当然歯周病検査です。これは歯と歯肉の境目の溝の深さを測ることです。歯周病のすべての検査の中で一番大切な検査です。ただ、イラストのように歯と歯肉の境に器具を入れて図るわけですから多少痛みを感じる場合があります。最大限痛みがないように検査するようにしています。

この検査によって歯周病の進行具合が分かります。

プロービング

そしてブラッシングチェックを行います。今までのブラッシングのやり方だと歯周病は治らないので歯周病を知り、どこに磨き残しがあるのかを知り、それを理解したうえで汚れを落とすことが重要です。とにかく歯周病治療は汚れを落とすことが最大の目的です。またこの時に位相差顕微鏡という口腔内の細菌をリアルタイムでみることのできる顕微鏡でご自分の細菌を見てもらいます。

やはり、磨けていないところには根雪のように汚れが残っています。その中にはたくさんの細菌がいます。それをブラッシングで落とすことが重要です。

専門的なクリーニングをすることも大切

そして自分で落とせない隅々の汚れを歯科での専門的なクリーニングをすることも大切です。歯科医や衛生士が自分の口の中を磨いても70%しか落とせないといわれています。ですから歯周病になった人はいままで歯周病に関する情報がなかったので完璧に磨くことは難しいでしょう。そこで歯科医師や歯科衛生士が歯科の機材を使用して汚れを落としていくことで歯周病を治していきます。

以上も事を1か月の間行っていきます。1週間に1度の来院で3~4回クリーニングを行っていきます。

この1ヶ月間でブラッシング時に出血しなくなった、歯肉の腫れが少し引いてきた、口臭が少なくなった、口に中のねばねばが無くなったなどいろいろなことが起こってきます。

ブラッシングの仕方の改善と歯科での専門的なクリーニングより歯肉の炎症の改善が起こってきた結果が表れてきます。

最初の検査から1ヵ月後にもう一度検査をします。この1ヶ月の努力が見られる時です。当然ことですが数値がよくなっていることが多いです。ここからの治療は、歯石を完全にとることが目的となります。

歯石には2種類ある

ここで、歯石を完全にとるということを理解するために「歯石には2種類ある。」ということを説明します。

一つは歯肉縁上歯石、もう一つは歯肉縁下歯石です。

歯肉縁上歯石は、歯肉よりも歯冠寄りについている歯石です。唾液由来で見た目はクリーム色で硬さは爪でも取れるくらいの硬さです。この歯石は初めの一ヶ月のうちに取るようにしています。この歯肉縁上歯石を取る場合は、ほとんどの場合取るときに痛みを感じません。たまに「ぴっり」とすることもありますが、基本的には痛みがないことが多いです。

歯肉縁下歯石は歯と歯肉の境の溝の中、つまり歯周ポケットの中に歯石です。この歯石は血液と混ざって黒い色をしています。硬さは歯肉縁下歯石よりもかたくて、とるのに結構、力を必要とするくらいです。

以上のように、歯石には2種類あり歯肉縁上歯石は初めの一ヶ月で取り、歯肉縁下歯石2回目の検査の後に取り始めます。

2回目の検査の後この歯肉縁下歯石は、ポケットの中にあり、そのままとると痛みを感じるので、麻酔をして歯肉縁下歯石を取ることになります。1回の来院で4本くらいまとめてとるようにしています。一回の麻酔で麻酔が効いている範囲の歯石を取ることが楽だし、何回も来院して何回も麻酔をしてということになると負担がかかりすぎしまうからです。

歯肉縁下歯石を取るのに約1ヶ月かかります。当然必要な本数だけしかやりませんので人によっては2回くらいで終わる方もいらっしゃいます。

この歯肉縁下歯石を取りもう一度歯周病の検査を行います。ここまでが歯周初期治療です。